一概に看護師といっても病棟や部署によって様々な役割が存在します。救急看護師は緊急に対応する看護師であり、一般病棟で勤める看護師は患者さんの経過を観察したり、日常をサポートする役割などがあります。
そしてトリアージナースとは、選別するという意味のトリアージという言葉通り、来院された患者さんを選別するという役割があります。病院に搬送される多くの救急患者の中から、重症度・緊急度の高い、低いを判断して、より緊急度が高く、重度の患者さんを優先に医師の診察を受けられる流れを作ります。無限ではない、限られた医療スタッフと時間を効率的に使うために重要となる、初期判断を行って一人でも多くの命を救うことが仕事です。
救急病院で診察をする患者さんは、救急車によって搬送された患者さんだけではありません。自分で歩いてきたり、車を運転したり、タクシーで来られる方など、救急車以外から診察を受けにくる患者さんもいます。
こういった患者さんたちは意識があり、一見重症には見えない患者さんに見えるので緊急性や重症度の判断が難しい場合があります。例えば、しっかりと意識があり、車を運転するくらいの能力を持っている状態でも、自覚症状が無いだけで症状が進んでいることがあります。そして診察の順番を待っている間に、症状が急変し救命が間に合わなかったという事態があります。こういった事態を避けるためにも、患者さんの症状の重症度、緊急度を的確に判断して、診察の優先順を決めるトリアージナースは重要な役割として現在注目が集まっています。
人員不足と言われ続けている救急医療の現場において、一人でも多くの命を救うためには仕事の効率化がとても重要となります。そして、円滑な医療にして効率化を進めていくために、トリアージナースは育成が急がれる看護師として現在注目を集めています。また、来院された患者さんとその家族にとっても、トリアージナースによる症状や診察の順番についての説明を受けることは不安を和らげる効果が期待できます。この効果によって必要以上の混乱を抑えて、すべき仕事、急ぐべき仕事に他の医療スタッフがフォーカスを当ててこなしていくことができるため、さらに力を発揮することも期待されています。
現在では、トリアージナースの教育や、研修コースの実施が行政や病院によっても進められているため、今後は多くのトリアージナースが救急外来の現場にて活躍することでしょう。